肘部管症候群ってなに??
肘の内側で尺骨神経という神経が痛んだり絞扼されることで
小指側へしびれや感覚障害が起きたり、細かい動作が障害される疾患です。
日常的にも遭遇することが多い疾患であり、神経障害で手根管症候群に次いで多いと言われています。
別名として【肘部尺骨神経障害】と呼ばれることもあります。
肘部管とは簡単に説明すると
肘の小指側の骨と肘の頭の骨の間の溝の部分を中心とする
骨と靱帯に囲まれたトンネル状の部分のことです。
肘部管症候群ってどんな症状がでるの??
小指や薬指にかけてしびれや感覚障害が起こったり、細かい作業がしづらくなったりします。
症状が進行してくると、鷲手(鉤爪変形)と言われる筋肉の萎縮により
手が変形することもあります。
肘部管症候群ってどんな人に起こりやすい??
肘関節を酷使する仕事やスポーツを行う方に起こりやすいとされています。
スポーツで例えると野球などボールを投げるスポーツや柔道などで多くみられます。
またデスクワークや事務作業などで肘をついて作業を行う方にも症状がでやすいです。
肘部管症候群の原因ってなに??
スポーツや仕事で尺骨神経を長期間牽引したり圧迫されることが原因とされています。
子供の時に上腕骨の骨折をした経験がある方は、年齢とともに肘が外反方向に変形して
進行した際に【遅発性尺骨神経麻痺】を発症することがあるので注意が必要です。
またガングリオンと呼ばれる腫瘤によって発症することもあります。
しかし上記に記載した症状が原因とは言われていますが、
特発に起こることが多いとも言われており
全く原因がないのに発症する例もあります。
肘部管症候群ってどうやって診断するの??
まずは上記に記載した症状の他に、肘の内側を軽くたたいた際に小指や薬指に
しびれ感が出現します。
状態によっては電気生理学的検査や画像検査を行います。
上腕骨外側顆骨折(上腕骨外側で肘に近い部分)を昔骨折した経験がある方は
レントゲン検査で肘の外反変形が確認できることもあります。
またフローマン徴候という両手の親指と人差し指で紙をはさんでもらい
両方一緒に引っ張ってもらうテスト方法もあります。
母指内転筋と言われる筋肉の力が低下している状態だと
親指の第一関節が曲がってしまいます。
これは母指内転筋の筋力低下を長母指屈筋と言われる筋肉が代償することで起き
第一関節が曲がってしまう場合には尺骨神経で何かしらの障害が起きている可能性が
あることを考えます。
肘部管症候群の治療方法は??
多くの肘部管症候群は少しずつ進行してしまうため手術となるケースが多いです。
保存療法としてはまずは日常生活や仕事などでの安静第一とします。
症状の強さによっても変わってきますが装具による関節の固定をしたり
薬物療法でNSAIDsやビタミンB12の内服を行ったり、ステロイド注射を行うこともあります。
手術療法では骨を削ったり神経を前方に移動させたりします。
肘の変形がある場合には、その変形が原因となっていることもあるので
その変形をなおす手術を行うこともありますし
ガングリオンなどが原因で圧迫を起こしている場合などは
それを除去する手術も行います。
肘部管症候群の予防方法は??
まず肘を強く曲げることをしないようにしましょう。
他にはデスクワークや事務作業などで肘をついての作業が多い人もなるべく
肘をつけないようにすること。
肘が長時間固い机などに当たることで症状が出たり、悪化することがあります。
机や椅子の高さを変えたりどうしても肘が当たる方は肘の下にタオルやクッションなどを
敷いておくと緩和されると思います。
また睡眠時に無意識に肘を強く曲げてしまうという方もいらっしゃいますが
睡眠時に意識することは難しいので肘にタオルを巻くなどして肘が曲がりづらくなるように
対応すると夜間や起床時の痛みやしびれが軽減されると思います。
肘部管症候群に対してのアドバイス
肘部管症候群は適切な治療や対応を行わないと少しずつ症状が悪化してしまいます。
私自身も肘部管症候群の方の治療を何人も担当してきましたが
日頃の生活やお仕事で、どうしても負担がかかり悪化してしまったことで
手術になったケースも何度かありました。
これくらい大丈夫と思わず症状が軽いうちから治療を行ったり
予防を行うことが大事です。
根気強く治療頑張っていきましょう。